回転対称構造を扱うためのBody of Revolution(BOR)FDTD法に局所的一次元(LOD)法を導入し、効率良い時間領域計算手法を開発した。従来の交互方向陰解(ADI)法に基づく手法に比べ、差分式の右辺の計算数の著しい低減と、それにともなう計算時間の短縮を示した。具体的には、ADI法に比べ30%、古典的な陽解法に比べ70%の計算時間削減を果たした。研究成果をIEEE Microwave and Wireless Components Letters(2009年2月)に発表した。この論文では、円筒空洞共振器の回転方向に界の変化のない最低次モードを扱っていた。そこで、回転方向に界の正弦的変化のある高次(ハイブリッド)モードの解析を詳細に行った。高次モードの解析においても、計算精度を維持しつつ同様に計算時間を短縮できることが分かった。結果は、電子情報通信学会総合大会で発表した。 次年度で3次元円筒座標系LOD-FDTDを開発するため、初年度ではワークステーションの立ち上げも行い、研究環境を整備した。 3次元円筒座標系を扱う際に問題になるのは、周期境界条件を組み込む必要のある点である。従来の直交座標系LOD-FDTD法に周期境界条件を組み込めば、周期構造を効率良く取り扱うことが出来る。そこで、円筒座標系での定式化に先立ち、周期境界条件を組み込んだ直交座標系LOD-FDTD法を開発した。研究成果を、シンガポールで開かれたAsia-Pacific Microwave Conferenceで発表し、IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters(2009年8月)で公表した。
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