近年、ワイドバンドギャップであるダイヤモンド・窒化アルミニウム(AlN)を主とした紫外線領域で発光・受光するデバイスが注目されており、本研究ではダイヤモンドとAlNを用いてハイブリッドデバイスを構成し、新機能デバイス(例えば発光・受光デバイス)の実現を目指し実験を遂行した。新機能デバイスの実現にはまず、(1)AlN/ダイヤモンドヘテロ構造の探索、および(2)AlNの極性の評価が不可欠である。平成21年度では、1.有機金属気相成長法を用いてダイヤモンド基板上にAlNを成長させ、同時にダイヤモンドと結晶構造が同じであるSiとの比較を行った。x線回折法および透過型電子顕微鏡を用いて詳細に比較評価を行った結果、SiとダイヤモンドではAlNの成長モードが大きく異なることを見出した。また(111)ダイヤモンド上にダブルドメイン構造を有すAlN連続膜の成長に成功した。並行して2.評価方法がまだ確立していないAlNの極1生の評価を同軸型直衝突イオン散乱分光法(CAICISS)および収束電子線回折法(CBED)を用いて試みた。その結果、それぞれの評価方法の適応性・利点・最適測定条件等を付きとめた。CAICISSはマクロスケールでの極性評価に適しており、結晶の品質にあまり敏感でないことが分った。またCBEDはナノスケールでの極性評価に適しており、結晶の品質に敏感であるが、特定方向からのCBEDパターンを用いることで再現性良く評価ができることが分った。
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