研究概要 |
研究実績の要旨:本研究では,銅薄膜,ポリイミド薄膜,ガラス基板の150℃以下・大気圧での一括接合を,各材料の清浄表面に水分子を導入して水和物架橋層を形成することにより実現した.また,架橋層の厚さや内部での再結晶化を制御することにより,銅配線間では約4×10^<-8>Ωmの低い接触抵抗率を達成した.実デバイス用の接合装置が震災で破損したため接合界面の電気的実働特性評価には至らなかったが,ピッチ10μm以下の超微細銅平坦化電極を有する各基板を,同種異種問わずに接合することを実現した.これらの成果は,MEMSセンサの薄型高密度3次元混載化を,低プロセス負荷で実現するのに寄与すると期待される. 1.材料表面への水分子吸着挙動の解析:本接合手法の実現には,a)吸着分子層が架橋性の官能基を持つことと,b)基板材料原子の相互拡散距離程度の層厚を保つことが必要である.本研究では,銅薄膜の清浄表面に吸着した水分子が電離して水和物が形成される現象を,それぞれの絶縁層材料の親水化接合法と組み合わせることを考案した.いずれの材料においても,吸着皮膜の成長速度は入射水分子数に比例したため,架橋性薄膜の形成条件は暴露気体の絶対湿度のみで制御可能であることが判明した. 2.接合界面の微細構造解析:1の検討で最適化された薄膜形成条件を用い,各材料の同種/異種接合が達成されたことを電子顕微鏡観察などで確認した.特に,銅電極間に形成されたアモルファス状の架橋層内部では,微結晶状態の銅水和物の有する高い拡散係数に起因した迅速な脱水分解反応により,常温でも界面全体の構造が安定した単純酸化物に変化することが判明した. 3.接合界面の電気的特性評価:3端子4線銅電極パターンを形成した各種基板を製作し,大気中150℃1000時間の高温放置試験を行った結果,1000時間経過後も接触電気抵抗率の初期値(4×10^<-8>Ωm)からの増加は5%以下で,実用に供するに十分な信頼性を有することが判明した.
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