平成23年度には、本研究課題の主な提案方式であるConstellation-Rotated Vector OFDM(CRV-OFDM)の情報伝送方式に関する研究を行い、次のような成果を上げた。 1.誤り訂正符号を適応したCodedCRV-OFDM(CCRV-OFDM)伝送方式を完成 通信分野での重要な課題であったRayleighフェージング通信路におけるインターリーバー設計問題を解決し、ダイバーシチオーダーがCRV-OFDMのベクトルの長さと適応した畳み込み符号のFree Distanceの積となるCCRV-OFDMを設計した。 2.ドップラーや周波数オフセットなどの高速フェィジング通信路における性能評価と緩和対策 高速移動時に生じるドップラーと送受信側の周波数のズレにより生じる周波数オフセットに起因する干渉をGaussianで近似することで、これらがCRV-OFDM通信システムに与える影響を評価し、その影響を緩和する為にCRV-OFDMの時間領域の信号に窓関数を適応する方法を考案した。 3.多入力他出力(MIMO)通信システムへの拡張 複数のアンテナを用いることで拡大された通信路容量を有効に使うための具体的な手段として、MIMO通信システムへCCRV-OFDMを適応したMIMO-CCRV-OFDMについて研究し、その有効性を確認した。 4.他の拡散系列を用いた通信方式の研究 他の拡散系列を用いたサイクリック・プレフィックス伝送方式についても研究を行い、Perfect系列であるChu系列を用いた畳み込み拡散通信方式においては、高速フェージングでの通信路推定手法を提案し、研究代表者が考案したHan-Frank系列を用いた畳み込み拡散通信方式においては、高速フーリエ変換(FFT)に基づくハードウェアの構成を示した。
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