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無線通信技術の低消費電力化の重要性は高まる一途である。本研究は、研究代表者らが提案している変調信号のピーク電力低減技術を拡張することにより、送受信側で複数アンテナを用いるMultiple-Input Multiple-Output (MIMO)無線通信システムのさらなる低消費電力化をはかることを目的とする。本年度の主な研究成果は以下の通りである。
1.帯域制限されたシングルキャリア変調信号の厳密な瞬時電力分布の理論計算式を導出した。これによりPSKおよびQAM変調されたシングルキャリア信号の電力効率を理論的に算出することが可能である。本手法より、パワーアンプの電力効率を考慮した今後の無線通信方式に対する有用な設計指針を得ることができる。
2.OFDM変調方式に対してトレリスシェイピングおよびMアルゴリズムを適用することにより、送信側における信号のピーク電力低減に要する計算量を軽減する手法を提案し、その有効性を計算機シミュレーションにより示した。
3.MIMO通信技術の実装における課題として、受信機での信号分離に膨大な計算量を要する点が挙げられる。この問題を緩和するため、ベイズ推定と信号点近似手法に基づいた簡易な信号分離法を提案し、その有効性を計算機シミュレーションにより確認した。本提案技術が今後のMIMO無線通信システムの受信機の簡易化に貢献するものと期待できる。
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