| 研究概要 |
本研究では,マルチホップ無線ネットワークにおいてトラヒック集中によりボトルネックとなってしまうノードにおいて,過負荷状態を改善するためにネットワーク符号を適用する.元々,ネットワーク符号は有線ネットワークで考えられた技術であり,無線伝搬で問題となる誤りについては十分な対策が練られていない.本研究では無線伝搬環境に強いロバストなネットワーク符号を再送方式,誤り訂正方式の点から検討する.
昨年度に引き続き,再送方式の評価を進めるとともに,本年度はネットワーク符号のための誤り訂正方式について検討した.通常のネットワーク符号化は冗長が無いため誤り訂正には使えないが,複数の経路上に符号化したパケットを送信することで経路次元ダイバーシチ効果を得ることができる経路次元符号化と組み合わせることで,誤り訂正が可能となる.そこで,始点ノードでは経路次元符号化を用いて2つの経路に符号化されたパケットを送信する.中継ノードでは異なる始点ノードから送信されたパケットに対してネットワーク符号化を用いて多重化して送信することで,トラヒックが増加するのを抑える.終点ノードではネットワーク符号化,経路次元符号化されたパケットを復号する.シミュレーションにより提案方式の評価を行い,誤り率特性は経路次元符号化のみを用いた場合より若干劣化するが,無符号化より大幅な向上がみられた.スループット特性については実用領域において経路次元符号化よりも特性が向上することを確認した.
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