研究概要 |
本研究では符号化ノイズを積極的に利用した画像通信フレームワークの構築のために,大きく分けて,(1)JPEG符号化ノイズ除去のためのWeb画像特徴データベースの生成,(2)主観評価実験による適用範囲および汎用性の検討,の順からなる2カ年計画を予定している.平成21年度は上記(1)に関する研究を実施した.まず,タグに基づきWeb画像を収集することで,内容が類似する可能性が高いWeb画像データベースを構築した.タグの対象としては,問題を単純化するため風景に関連するものに限定した.これらを主観的に観察することにより,JPEG符号化ノイズの除去に必要なWeb画像データベースの生成を行った.Web画像データベースをブロック単位に分割し組み合わせることで,劣化画像に対して,(JPEG劣化の比較的少ない)類似画像が生成可能であることを確認した.得られた類似画像の高周波成分を劣化画像に付加することによって,JPEG符号化ノイズの除去に寄与することを主観的に確認した.したがって,生成された類似画像自体がWeb画像特徴量であることを示した.しかしながら,類似画像における隣接ブロックが同一になる傾向が高く,画像として見ると不自然な高周波成分が連続して発生してしまい,主観的に違和感を与えてしまう.そこで,周囲に同一のブロックを含まない類似画像の生成法についても検討し,主観的な違和感を抑制した.以上より,本研究の目的である符号化ノイズを積極的に利用した画像通信フレームワークは限定された条件下では適切に機能することを示した.
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