研究概要 |
近年、Web上には膨大な画像が流通している。そのため、当該画像群を用いて対象画像と類似した画像を生成する事が可能である。類似画像が存在すれば、対象画像を必要以上に量子化することにより効率よく符号化することができると考えられる。そこで本研究では、既存の符号化方式との親和性を考慮し、JPEG符号化やJPEG2000符号化におけるノイズを情報源符号化の際に積極的に発生させ、情報源復号の際に類似画像を用いて当該ノイズを抑制するフレームワークを提案した。 前年度では、Web画像特徴データベースはWeb画像のブロックの集合で構成すればよいことが明らかとなったため、それを踏まえ、本年度は、本手法の適用範囲を検証するために主観評価実験を行った。主観評価の結果より、「自然」に関する個人差が大きいことが判明した。これに関しては、個人の経験や好みが大きく影響していることが示唆され、評価値を全体の平均で扱うことが難しい問題であることがわかった。 また、提案法のフレームワークについて,JPEG2000符号化においても主観的に改善可能かを検証した。一般に、JPEG2000のノイズは全体的にぼけが顕著になり、提案法のフレームワークにより,平坦な領域ではノイズを強調してしまう結果となった。一方で、芝生等のテクスチャ領域では、失われたテクスチャが「自然」に改善することが主観的に明らかとなった。 以上より、提案法のフレームワークは様々な画像通信に直接適用可能であることが明らかとなった。
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