研究課題
平成22度では主に以下の3点について研究を実施した。1)不均一端末分布型協力マルチホップ通信の理論解析およびその設計、2)様々な協力通信方式のパワーアンプにおける電力利用効率解析、3)USRP2を用いた低消費電力マルチホップネットワークの実装。まず平成21年度において解析した協力ダイバーシティ技術をより現実的なモデルへと拡張した。実際の環境下では中継端末が均一に環境に分布しているとは考えづらく、そのような場合に効果的な協力マルチホップ通信が実現可能かどうかについて解析を行った。その結果。端末が不均一であることを積極利用することで、均一分布時よりも優れた伝送効率を実現できることを明らかにした。また実際の通信ではパワーアンプによって信号を増幅した後送信するため、端末構成を最も簡易化できる増幅転送協力通信のような方式であっても、送信信号のダイナミックレンジが結果として大きくなってしまう場合には結果的に省電力効果が得られない可能性が考えられる。そこで従来提案されている様々な協力通信方式の送信信号の瞬時電力分布を解析し、電力利用効率の観点から解析した場合、信号を再生成する検出転送もしくは復号転送型協力通信が優れていることを明らかにした。平成23年度はこれらの結果をさらに推し進め、省電力協力通信を設計したいと考えている。さらに、平成22年度に続き物理層まですべてのレイヤを自由に書き換え可能なGNU Radioおよびそれを用いたUSRP2による実装を行った。平成22年度までに検討してきた協力マルチホップ通信をさらに改良した協力ネットワーク符号化通信の実装を行い、従来の直接通信よりも優れた特性が得られることを実環境試験にて確認した。以上より年度当初に掲げた目標の大部分を達成し、協力マルチホップネットワークによる低消費電力実現の道筋を立てた。
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IEEE Journal of Selected Topics in Signal Processing
巻: Vol5, No.7 ページ: 197-207
Proceeding of IEEE RWS 2010
