研究概要 |
近年,セルラー網や無線LAN(WiFi)の高速化及びWiMAXなどの新しい通信規格の実用化に伴い,無線ネットワーク上で高度で大容量なアプリケーションが提供可能となりつつあるが,一方で,データ通信に適した無線周波数帯は有限であるため,その逼迫が問題視されており,今後,無線ネットワークをバックボーンへの安定したアクセス基盤として利用するためには,何らかの抜本的な対策が必要となるものと考えられる.そこで本研究では,ダイナミックスペクトラムアクセス技術を応用して異種無線システム間で周波数帯を共用し,全体としての周波数利用効率を向上させることでこの問題に対処する.具体的には,WiMAX/WiFi統合ネットワークにおいて,より通信可能範囲の狭いWiFiのアクセスポイントがコグニティブ無線技術を用いて電波利用状況を検知し,初期状態としてはWiMAXに割り当てられた周波数帯を動的に利用することで,時間的側面から周波数利用効率を高める.この際,周囲にある他のWiFiアクセスポイントと協調し,干渉の発生しない範囲で周波数を繰り返し利用することで,空間的側面からも周波数利用効率を高め大幅な通信容量増大を達成する. 今年度においては,WiFi事業者とWiMAX事業者が非協力的にそれぞれの利潤を追求する環境でも,ユーザの行動モデルとそれに応じた価格設定によって全体として効率的な動的周波数共用が可能なことを示した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに,ファイルダウンロードサービスに適した周波数共用方式とストリーミングサービスに適した周波数共用方式を確立したが,平成24年度においては,これらの方式を統合し,一般的な環境での最適な共用方式を確立する.このとき,レートアダプテーションについても考慮する. また,これまでに得られた成果を学術論文誌や国内外の学会にて積極的に発表する.
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