研究課題
平成23年度は、前年度までに試作を行った送受信機を用いた並列光空間伝送実験と、計算機シミュレーションによって、提案する光ZCZ符号を用いたCDMA方式の性能評価を行った。実機を用いた並列光空間伝送実験では、送信機を4台用いて、4チャンネル多重の多重伝送実験を行い、ビット誤り率特性を計測した。その結果、理論通り他局の干渉を完全に抑圧することはできなかったが、干渉は比較的低く抑えられることが確認できた。また光軸ずれによる影響を求める実験では、並列に送信機3台を並べて並列伝送し、受信機に対して光軸を-70度から70度まで回転させたときのビット誤り率特性を計測した。その結果、-30度から30度まではビット誤り率特性の劣化が起こらず、光軸ずれの影響を抑圧できることがわかった。これはLEDの指向性によるもので、この30度は光のパワーがちょうど半分になる角度であった。また、光直交符号を用いたCDMA方式と提案する光ZCZ符号を用いたCDMA方式との性能比較を計算機シミュレーションによって行った。性能比較では、シンチレーションと背景光,APD雑音,熱雑音による干渉と多元接続による他信号による干渉によるビット誤り率特性への影響をそれぞれ明らかにした。その結果、光直交符号を用いた方式に比べて、光ZCZ符号を用いた方式の方がビット誤り率特性を向上できることがわかった。以上の結果より、提案する光ZCZ符号を用いた光CDMA方式は完全に他局の干渉を抑圧することは出来ないが他の方式より影響を抑えることができ、光軸ずれの影響もLEDの指向性が広ければ、その影響を無視出来ることがわかった。
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