本研究は、近年セキュリティ面から注目される意図的電磁妨害による電子機器の誤動作・故障に関して、 (1) 電磁妨害波により通信線(または電源線)から誘起する電圧または誘導する電流の調査 (2) 二波による相互変調などの脅威となる電磁妨害波の調査 (3) 電磁妨害波および通信線(または電源線)への誘起電圧(または誘導電流)の数値計算シミュレーションの実施 を行い、その測定・評価方法および防護対策方法の検討を行うことを目的としている。 本年度は、意図的電磁妨害に対する情報通信機器のセキュリティを検討している国際電気通信連合(ITU : International Telecommunication Union)電気通信標準化部門(Telecommunication Standardization Sector)にアソシユート・ラポータとして出席し、ITU-T K.78 : HEMP immunity guide for telecommunication centres およびITU-T K.81 : HPEM immunity guide for telecommunication systemsの勧告化を行った。また、(1)に関して、一波無変調電磁妨害波が通信線に誘起(または誘導)し情報通信装置が誤動作することを実験的に確認した。この際、防害周波数は、不規則に分布する傾向を示したため、広周波数帯域のインパルス性電磁妨害波を用いた試験方法の検討を始めた。インパルス性電磁妨害波を高利得で発生可能な半パラボラ反射板型インパルス放射アンテナの試作を行い、その各種特性を調査し学会発表した。さらに、インパルス放射システムについて検討を行い学会発表した。(2)に関しては、二波による電磁妨害試験方法についての特許出願を行った(特願2009-264526)。
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