本研究では、近年セキュリティ面から注目される意図的電磁妨害による電子機器の誤動作・故障に関して、 (1)電磁妨害波により通信線(または電源線)から誘起する電圧または誘導する電流の調査 (2)二波による相互変調などの脅威となる電磁妨害波の調査 (3)電磁妨害波および通信線(または電源線)への誘起電圧の数値計算シミュレーションを行い、その測定・評価方法および防護対策方法の検討を行うことを目的としている。 昨年度、(1)に関して、一波無変調電磁妨害波が通信線に誘起(または誘導)し情報通信装置が誤動作することを実験的に確認し、妨害周波数は不規則に分布する傾向を示したため、本年度は、広周波帯域のインパルス性電磁妨害波を用いた試験方法の検討を行った。インパルス性電磁妨害波を放射するためには、インパルス性電磁妨害波を高利得で発生可能な半パラボラ反射板型インパルス放射アンテナと急峻な立ち上がりを持つ高出力パルス発生器が必要となるため、これらの試作および開発を行い、インパルス放射システムを構築した。また、構築したインパルス放射システムの各種特性を測定し、その結果を学会において発表した。また、意図的電磁妨害による電子機器の誤動作・故障に関する問題は、近年セキュリティ面から注目されており標準化策定が進められている。このため、電磁妨害による電子機器の障害発生のメカニズムとその対策概念、および国際標準規格化動向についての解説を専門誌において行った。
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