研究課題
本研究の目的は、センサを結晶のように対称性よく配置することにより、従来困難であった拡散性雑音の抑圧や拡散性雑音下での定位を可能にする新しいアレイ信号処理の枠組みを確立することである。特に2年の研究期間の間に、理論面を整備、拡充し、実環境への適用範囲の拡大を行うことを目指している。平成22年度は、以下のような実績を得た。1)結晶型マイクロフォンアレイを用いた拡散性雑音抑圧のための多チャンネルウィーナーフィルタ設計法を、室内などの残響が存在する場合にも適用可能に拡張した。具体的には、残響の影響により直接音モデルからずれるステアリングベクトルを、観測信号のみからブラインド推定する手法を確立した。2)前年度に引き続き、複数音源定位手法として有名なMUSIC法を拡張し、拡散雑音下での高精度な複数音源定位を行うための手法:CRYSTAL-MUSIC法の定式化をすすめた。具体的には共分散行列の低ランク性の仮定に基づき、行列補完という数学的な技術と拡散雑音共分散行列のブラインド無相関モデルを組み合わせた手法を定式化し、実験によりその有効性を確認した。3)実環境での高精度な残響除去法確立のために、結晶型マイクロフォンを用いて、音源から各マイクロフォンまでの室内インパルス応答を、雑音環境下で推定する手法を考案し、基礎実験により有効性を確認した。このうち1)はIEEE Trans.に採録決定、2)は国際会議発表済み、3)は卒業論文として研究を行い、次年度以降、学会発表予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Proc.of LVA/ICA
ページ: 81-88
IEEE Transactions on Audio, Speech and Language Processing
巻: (印刷中(掲載確定))