研究課題
溶存酸素に依存しないバイオセンサ構築のため、その計測原理となる蛍光検出と従来用いられる水銀ランプなどの大型光源を小型にすることを目的として、まず小型な高輝度紫外線LED(UV-LED)を用いた励起光システムおよび還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)蛍光検出システムの検討を行った。励起光システムではNADHの励起波長である340nmをピーク波長とするバンドパスフィルタを用い、蛍光検出の妨げとなる500nm付近の波長を遮断し作製した。また、効率的にNADH蛍光を検出するため、400nm以上の波長を透過するロングパスフィルタを用いて励起光波長成分を遮断することで倍波長成分を除去し、最適化を行った。これらの結果からNADH蛍光計測システムを構築し、特性評価を行ったところ、NADH溶液を1.0~300.0μmol/lの濃度範囲で定量が可能であった。次に、溶存酸素に依存せず、連続測定が可能なNADH蛍光検出式エタノール用バイオセンサの構築を行った。バイオセンサの作製では、光ファイバプローブ先端に、アルコール脱水素酵素(ADH)固定化膜を取り付け、バイオセンサとした。ADH固定化膜は、ADHを生体膜表面と類似した高分子ポリマーPMEHを用い、冷所で乾燥させることでPTFE膜上に包括固定化した。ADH固定化バイオセンサのエタノール溶液に対する定量特性を調べたところ、リン酸緩衝液中のエタノール溶液の濃度の増加に伴っセンサ出力の増加が確認された。このようにして得られた、センサ出力の定常値をもとに定量特性を調べたところ、本センサにてエタノール溶液を0.01-100mmol/lの濃度範囲で定量が可能であった。本センサは、UV-LEDを用いることで小型な形状となり、従来の光源と比べ約1/10ほどのサイズになり、携帯性が高まった。本センサの技術をガス計測の適用することで、呼気診断に利用できるものと考えられる。
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