研究概要 |
生体透過性の高い近赤外光を用いて,生体内の断層画像を取得する拡散光/蛍光トモグラフィ技術が注目されている.本研究課題では乳がん診断への応用に向けて,がん組織などを標識した生体内の蛍光物質の分布と,蛍光の伝播にかかわる生体内の光学特性値分布を,逆問題を解くことによって推定するためのアルゴリズム構築と生体模擬試料を用いた実験によるアルゴリズムの検証を目的とする. 拡散光・蛍光トモグラフィに用いられる光強度の時間分解計測によってえられるデータには光子を計数する際に生じるポアソン分布に従うノイズが含まれ,このノイズが影響してトモグラフィ画像にアーチファクト(偽像)が生じることがある.このノイズを除去するためのアルゴリズムを,事後確率最大化推定法を応用して構築した.このノイズ除去法によって,拡散光トモグラフィの画像を滑らかにし,アーチファクトを低減することができることを,計算機シミュレーションと実際の実験から示した. また,拡散光トモグラフィ画像の空間分解能向上のための逆問題正則化法として,L1ノルム最小化を適用し,画像のぼやけが改善することを計算機シミュレーションで実証した.
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