研究課題
当該年度には、前年度までに開発した2次元アンテナアレイおよび歩行運動推定アルゴリズムの性能を実環境に近いデータを用いて改良および実証した。このために、目標を可動ステージに設置した測定、および実際の人体を用いた測定を行い、信号処理手法の開発および特性評価を行った。前半の実験のためには、ネットワークアナライザを用い、4-20GHzの周波数帯域において人体を模擬した様々な目標を2次元アンテナアレイレーダにて測定した。目標は可動ステージに設置し、様々な運動軌道および速度で移動させ、歩行中の人体の運動をシミュレートした。前年度までに開発した高速イメージング手法であるRRPM法と光学観測の鮮明さの評価に用いられるミュラーバフィントン指数を組み合わせることで、目標の運動を従来より100倍以上高速に3%程度の精度で推定可能な手法を開発した。推定した目標運動の影響を補償することで、目標の3次元形状を高精度に推定することに成功した。続いて、後半の実験のために実際の歩行人体を用いた測定を行った。この測定には米国Timedomain社の超広帯域レーダモジュールを用いた。可動ステージで運動する目標と異なり、実際の人体の運動は四肢の運動を含み複雑であるため、その運動軌跡を追跡するためには従来のモデルを多次元に拡張した手法の開発が必要であった。特に、複数の人体が同時に運動している場合には、これらの複数のエコーを自動的に分離し、別の運動軌跡を推定する必要がある。このため、ビデオ信号処理で使用されるoptical flowを用いた手法をレーダ信号に適用できるよう拡張したアルゴリズムを開発した。この手法によりスペクトログラム等を用いずにレーダ画像の各ピクセルの速度を求めることができる。この手法により、任意の運動を行う複数人体の運動を分離し、各々を高い精度で推定できることを実験的に明らかにした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)
IEICE Transactions on Communications
巻: vol. E96-B, no. 2 ページ: 613-623
10.1587/transcom.E96.B.613