研究概要 |
本年度はセンサネットワークにおける状況認識に関する研究および実験システムの構築・理論検証を予定していた.前者に関しては,特に複数のカメラセンサから構成されるビジュアルセンサネットワークにおいて,個々のカメラが画像データから推定されるターゲットの運動に関する確信(belief)を局所的に通信し合うことで,最終的にグループ全体としての意思を決定する分散意思決定アルゴリズムを提案した.当該分野で精力的な研究がおこなわれている協調制御に関する一連の研究の中にあって,提案アルゴリズムは協調することで達成される利点を明確に示しており,端末間で協調することのみに主眼が置かれている現在の協調制御の発展に一石を投じるものであると考える.実際,この結果は複数の国際会議・学術論文として投稿し,掲載が決定するなど十分なインパクトを与えられたと考えている.さらに,一連の研究をまとめた論文を国際ジャーナルに投稿予定である.加えて,ロボットネットワークにおいて,申請者が過去の研究で利用したランダム化アルゴリズムの考え方とゲーム理論を融合することで,従来にはない新たなロボットの意思決定アルゴリズムを提案し,すでに数の国際会議・学術論文に採択されている.本研究をまとめた論文も国際ジャーナルに投稿予定である.最後に,実験システムの構築に関しては,当初予定していたロボットにカメラセンサを搭載したロボティックセンサネットワークシステムに加えてビジュアルセンサネットワークシステムを構築し,順調に稼働している.上記の理論論文の多くは構築した実験システムを用いてその有用性が検証されており,国内外の研究者から高い評価を獲得している.
|