研究概要 |
本研究では,検索エンジンにおける検索結果を的確にランク付けするためにGoogle社が提案したページランク(PageRank)アルゴリズムに着目し,より効率的な計算手法の確立を目指し,分散型確率アルゴリズムの構築を目標とする. 今年度は,研究代表者らが近年提案した分散型アルゴリズムにおける計算の効率化と通信ネットワークのモデル化を考えた.また,関連の深いマルチエージェント系の同意問題に関する研究も並行して行った.主な結果として,次の3点があげられる. (1) ウェブ上のページをグループ化した上で,各グループに対するPageRankを計算する手法を導出した.グループ化する際に重要となる指針などが得られた. (2) 各ページは,リンク先のページと通信を行うことで,自身のPageRankを計算するが,データ損失を伴うような信頼性の低い通信を用いた場合にも計算性能を維持する手法を提案した. (3) 同意問題の設定においては,エージェント間の通信構造が重要な役割を果たすが,同意を得るために必要な通信構造に関する新たな結果を得た.とくに通信量を考慮し,量子化信号を用いたケースを考えた. 主に理論的研究を進めたが,有効性の検証はシミュレーション実験を通じて行なった. 今年度は以上の結果の一部を,American Control Conference(6月,St Louis USA),計測自動制御学会 第8回制御理論シンポジウム(9月,大阪),IEEE Conf.Decision & Control(12月,上海)などで発表した.
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