研究概要 |
本研究では,検索エンジンにおける検索結果を的確にランク付けするためにGoogle社が提案したページランク(PageRank)アルゴリズムに着目し,より効率的な計算手法の確立を目指し,分散型確率アルゴリズムの構築を目標とする. 昨年度に引き続き,提案した分散型確率アルゴリズムにおける計算量の軽減化手法を研究した.マルチエージェント系の同意問題に関しても新たな発展があった.主な結果は,次の2点となる. (1)ウェブ上では同一ドメイン内のページ間のリンクが多いことが知られている.この特性を陽に利用し,PageRankアルゴリズムに必要となる計算・通信量を大幅に軽減する手法を提案し,計算精度に対する解析や数値実験を行った.とくに,各ドメイン内のページを更にグループ化し,各グループに対する値を求めることで計算規模を縮小する.疎な構造を持つマルコフ連鎖の定常確率を求める問題とも関連が深く,とくに特異摂動法との関係について議論した. (2)昨年度から行っている量子化信号を用いた平均同意問題については,アルゴリズムの収束に必要となる計算時間に関する厳密な解析を行った.一定の条件下において,計算時間はエージェント数に関して多項式オーダーであることを示し,その効率性を確認した. 主に理論的研究を進めたが,有効性の検証はシミュレーション実験を通じて行なった. 以上の結果の一部を,American Control Conference(6月,Baltimore MD,USA),IEEE Multi-Conference on Systems and Control (9月,Yokohama),計測自動制御学会第8回制御理論シンポジウム(9月,大阪),IEEE Conf. Decision & Control(12月,Atlanta GA,USA)などで発表した.
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