研究概要 |
平成21年度は,(21-i)安定周期軌道の2次元区分的アファインシステムによる生成,(21-ii)環境変化を含むダイナミクスの周期軌道安定条件の導出を行った.まず(21-i)安定周期軌道の2次元区分的アファインシステムによる生成では,従来歩行制御において高次元ダイナミクスの帰結として生成されてきた位相空間内の振動子の周期軌道を,2次元位相平面を区分的に分割しそれぞれにアファインダイナミクスを割り当てることにより構成する手法を確立する.各振動子の位相空間を平面と取ることで,振動子の位相と振幅の概念が明確となり,たとえば歩行ロボット制御の場合では関節トルクに対応する信号の特徴づけが直観的に行うことができるが,構成する周期軌道は安定なリミットサイクルである必要があるため,区分的アファインシステムが安定な周期軌道を持つための位相空間の分割条件を導出し,それぞれの領域にアファインダイナミクスを割り当てる指針を与えた.また,所望の周期軌道の特性が与えられているときに,その周期軌道を2次元区分的アファインシステムとして近似的に生成するための条件を導いた.このとき,周期軌道そのものを近似する手法と同時に,その安定周期軌道への収束方向・収束速度などの特徴づけも併せて考察した.また,(21-ii)環境変化を含むダイナミクスの安定性の解析では,(21-i)で構成した2次元振動子が安定で唯一の周期軌道をもつ条件と,区分的アファインダイナミクスの係数が変化したときに,その唯一周期軌道が分岐現象を起こし複数の安定・不安定な周期軌道に分かれていく過程を解析した.このようなHopf分岐やFlip分岐などの周期軌道の分岐現象の解析により,2次元アファイン振動子を複数結合したときに,その振動子ネットワークが生成するであろうパターン制御系全体の振る舞い(同期パターンの遷移)を予測することが可能となった.
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