研究概要 |
本研家では,ロバスト半正定値計画問題(ロバストSDP)と呼ばれる数理計画問題に対する厳密解法を確立すると同時に,制御分野において従来より培われてきたシステム論的手法との有機的結合によって,ロバスト制御糸の新たな解析理論および設計理論を確立することを目的とする.本研究で取り組む具体的な研究課題は,以下の二つに大別される. (I) 制御系のロバスト性能解析問題を扱う際に現れるロバストSDPに密接に関連する,多項式行列最適化同問題に対する階層的なSDP緩和問題の構成,ならびに計算結果の厳密性を検証するための条件の導出.(II)不確かな物理パフメータを有する制御対象に対する,ロバスト制御系の設計法の確立. 平成21年度の取り組みにより,上記課題(I),(II)の双方に対して大きな成果が得られている.まず(I)に関しては,多項式行列最適化問題に対して,この問題を解くための漸近的に厳密なSDP緩和問題の無限列を階層的に構成できることを明らかにした.さらにこの無限列中のSDPを解いた結果が実際に巌密なものになっているかどうかを判定するための,厳密性検証条件を導いた.一方課題(II)に関しては,不確かな物理パラメータを有する離散時間線形時不変システムに対して,周期時変のメモリー型ロバスト制御器の設計を可能とするSDPを導いた.研究代表者らが提案した周期時変制御器の設計手法は,これ主でにと提案されてきたいくつかのロバスト制御器設計手法を包含する一般的かつ有効なものとなっている.得られた研究成果の一部を論文としてまとめ,すでに学術雑誌に投稿済みである.
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