生体システムがノイズを巧みに利用している原理である確率共振(SR)現象を人工の制御システムに取り入れ、生体のようにしなやかで臨機応変な能力を生み出す制御方法の確立とアナログ電子回路を用いた制御デバイスの創成を目的としている。本年度は、SR型ニューロン素子を用いたリング発振器(SRリング発振器)にセンシングの機構を取り入れ、センシング情報で発振パターンを変調することができるSRリング発振器の開発を行った。さらに、この発展型のSRリング発振器を組み合わせた制御システムをField-Programmable Gate Array (FPGA)を用いて実現した。 (1)確率共振(SR)現象を用いた制御システムの制御パラメータ解析 本年度は、昨年度に開発を行ったSR制御台車ロボットの動作シミュレータを開発し、システムに入力されるノイズの強度やSRリング発振器の結合定数といった制御パラメータが台車ロボットの光源追尾制御に与える影響を動画解析によって調べた。 (2)並列化SRシステムの耐故障解析及び人工筋肉制御への応用 本研究では、並列化SRシステムをFPGAへ実装し、さらに、FPGAを用いたSRリング発振器システムの開発を行った。FPGAは、アナログ電子回路と比べてシステムの変更が用意であるため、システム内のSR型ニューロン素子の可動/故障を頻繁に切り替えて実験を行うのに適している。今後は、本年度に開発したFPGAのSRシステムを用い、素子の故障数をパラメータとした耐故障性能及び人工筋肉の制御用途への可能性を調べる予定である。
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