ソーシャルネットワーク理論におけるコミュニティ同定問題に対し、制御理論からアプローチし、ソーシャルネットワークの動的モデルとコミュニティ同定手法の研究を行った。以下の2点の研究をすすめた。 1.コミュニティ同定問題を組合せ最適化問題として定式化する 2.上記問題の解法を与え、コミュニティ同定アルゴリズムを導出する 1については、Social Influence Network理論に基づいて得られた線形システムのモデル低次元化問題として定式化した。同じコミュニティに属する個人は、同様の振る舞いをする、つまり、状態方程式の同じ状態として近似可能という考え方に基づき、コミュニティ同定問題をモデル低次元化問題として定式化を行った。制約付きの低次元のモデルを同定する手法は行列のランク最小化問題として定式化されることが知られており、本研究でも行列ランク最小化問題として定式化した。 2については、行列ランク最小化問題の高速な解法について取り組んだ。行列ランク最小化問題はNuclear Norm Minimizationを繰り返し解くことで近似解が得られることが知られる。この問題は半定値計画問題に帰着され、内点法に基づくアルゴリズムで解くことができるが、膨大な計算時間を要するという問題点がある。特に、問題の規模が大きい場合には、計算機のメモリ不足となり解くことができない。そこで、再重み付け最小二乗法に基づく手法を提案し、高速、かつ、少ないメモリ使用量で解く解法を提案した。
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