ソーシャルネットワーク理論におけるコミュニティ同定問題に対し、制御理論からアプローチし、ソーシャルネットワークの動的モデルとコミュニティ同定手法の研究を行った。昨年度に引き続き、以下の2点の研究をすすめた。 1.コミュニティ同定問題を組合せ最適化問題として定式化する 2.上記問題の解法を与え、コミュニティ同定アルゴリズムを導出する 1については、昨年度にSocial Influence Network理論に基づいて得られた線形システムのモデル低次元化問題として定式化している。同じコミュニティに属する個人は、同様の振る舞いをする、つまり、状態方程式の同じ状態として近似可能という考え方に基づき、コミュニティ同定問題をモデル低次元化問題として定式化を行った。本年度は、この問題を解く手法として、行列のランク最小化問題手法を提案した。すでに行列の核ノルム(nuclear norm)を最小化する方法が提案されているが、本研究では、行列の零空間に注目し、行列の零空間を最適化することで行列のランクを最小化するNSAO法(null space based alternating optimization algorithm)を提案した。提案手法はGPUによる高速化が可能で、かつ、並列計算も利用可能であるという特徴を持つ。さらに、1つの観測データに複数のコミュニティが存在することも想定し、異なる複数のコミュニティ同定手法を提案した。
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