23年度では係留索ロード計測のための桟橋停泊実験を2回実施した。実験は強風影響による係留索のロードモデルを22年度に続き設計した。係留索への強風影響は22年度おいても計測したが、今年度については前回と異なる風速において係留索負荷を検証した。次にMATLABシミュレーションによって一般化最小分散制御を適用し、その有効性を検証した。なお本研究では、制御目標値を係留索にかかるロードを0とせず、CPP翼角制御により生成される速度を0とした制御系を設計した。本来はロード0目標値制御が係留索に負担をかけない目的に合致するものの、一般の船舶にはロードセルが付設されていない。そこで、船速0目標値制御(船速0であれば係留索にロードがかからない想定)とした制御系設計が実用上望ましい。船速制御であれば通常に計測可能であり風速に合ったCPP翼角制御をリアルタイムに実適用できる。本研究の検討結果については、平成23年9月にSICE Annual Conference 2011in Wasedaにおいて発表し、平成23年12月に計測自動制御学会論文集に投稿した。現在査読審査中である。論文はCPP翼角制御対象に明確なむだ時間の存在を指摘し、むだ時間システムに対して有効な予測制御法の1つである一般化最小分散制御を適用するシミュレーション実験を行った。シミュレーションは既存のPID制御と比較して良好な目標値追従性を達成することを示した。なお、予測制御に用いる未来の目標値を過去の風速情報に基づいてARモデルから予測算出する機能を制御系に付加した。
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