研究概要 |
現在,様々なひび割れ自己治癒メカニズムが提案されているが,本研究では,鉱物混和材料による化学作用を利用した自己治癒に着目し,この機能をコンクリートに付与させることで,構造物の長期的な信頼性を向上させることを目的としている.1次年度には,まず歴代土木構造物の漏水状況とそういう構造物で一部ひび割れが自己治癒されるようになる現象を検討して,その治癒メカニズムの究明と生成物の化学分析を行った.一例として,1950年代に建設された黒部ダムにおける内部トンネルひび割れに自然的に多くの2次生成物が生成されたことを確認することができた歌以外にも歴代構造物の2次生成物分析を通じて,炭酸カルシウムの形成と圧縮強度において様々なorganic substrateの影響があることが分かった.このようなbiomineralは有機成分を持った炭酸カルシウム複合体で破壊抵抗が一般純粋な無機物單結晶より高い材料である.したがって,今まで開発された材料以外にも1次年度で確認された結果を応用しでひび割れ部位の2次生成物に高い強度を発現する無機化学物を製造することができると考えている.特にこのような強度が増進された炭酸カルシウムは止水性能以外にも構造物の機械的特性を修復する可能性が高いと考えている.また2次年度には,このようなひび割れの自己治癒に効果があると推定される組成物によるセメント化学作用を利用した自己治癒に着目し、この機能をひび割れ補修材に付与させることで,構造物の長期的な信頼性を向上させることを目的としている.
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