研究概要 |
平成21年度は,舗装路面画像から損傷を安定して抽出するための画像フィルタを構築した.また,画像フィルタを適用する領域を,路面を撮影画像から自動認識するための画像処理手法の開発を行った.具体的には,研究代表者らがこれまでの研究で開発した画像フィルタ自動生成システムを応用し,舗装路面を撮影した画像から,頑健にクラックを抽出するための画像フィルタを,アスファルト舗装およびコンクリート舗装それぞれについて構築した.また,フィルタの前処理として,コンクリート舗装にみられるグルーピングをクラックと誤認しないよう離散コサイン変換を用いて周波数領域で除去する方法を提案している.次いで,画像端部にある白線の情報などを体系的に利用し,画像フィルタを適用する領域(車両走行領域)を自動で認識するための画像処理手法を考案した.本手法では,白線が途切れている場合や,片側だけある場合,両側ともない場合等にも対応できるよう場合分けを詳細に行っている.次に,輝度や1次微分の平均値などの特徴量を用いて,尤度によりアスファルト舗装とコンクリート舗装とを区別するための画像処理手法を考案した.これにより,まず舗装の種類を区別し,車両走行領域を認識して,クラックを抽出するという各部分の機能を構築することができたといえる.今後は,これらを統合し,損傷レベルを評価する指標を導入して,舗装路面の健全度を評価するシステムを構築していくつもりである.
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