研究概要 |
平成22年度は,昨年度までに構築した舗装路面のクラックを抽出する画像処理を応用して,路面の健全度評価を行うことが可能なシステムのプロトタイプを製作した. 具体的には,まず,損傷レベルからクラック率を算出するための閾値を,検査員による目視の結果と比較して定めた.次に,昨年度まで開発してきた各種の画像処理アルゴリズムを統合して舗装路面を撮影した画像群から,クラック箇所の特定とクラック率の算出を全自動で実施可能なシステムを構築した.さらに,100km分の実舗装路面画像を対象として,本システムにより精度よく舗装種別を識別して,クラックを抽出し,クラック率を算出できることを検証した.本システムにより,路面の画像群を取得するのみで,損傷箇所を自動抽出し,補修が必要か否かを全自動で判定することが可能となった.このことから,従来,手作業で行ってきた舗装路面の維持管理の判定作業を大幅に削減することが可能となった.最後に,舗装路面の維持管理にあたる検査員なら誰でも利用できるようグラフィカル・ユーザー・インターフェースを作成し本システムに導入し,また広く利用されているJPEGフォーマットでも画像を読み取れるよう改良した.加えてシステムの使い方のマニュアル等の整備もした.本システムは,現在,道路管理会社で実際の道路を対象として運転されており,様々な撮影機器で記録された画像を対象に,精度について検討を行っている.今後は,その検討結果を受けて,適宜,画像処理アルゴリズムの改善や,機能の追加などを行っていくつもりである.
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