研究課題
日本の経済成長期に整備された下水道管きょの多くは耐用期間に達し、老朽管の改築・修繕が急務とされている。管きょの改築・修繕方法については、既設管の中に新たな管路を挿入して改築する更生工法が日本下水道協会による「管更生の考え方」で示されており、さらに2008年には「管きょ更生工法の耐震設計の考え方(案)と計算例」が発刊された。しかし、更生工法に用いられる更生材は多種多様であり、更生管や充填材の強度、複合構造物としての継手構造特性などが明らかになっておらず、一般的な耐震設計法として規定するのが難しい。本年度の研究では既設管と更生部材を充填材で頑着させて更生する複合管の充填材の材料強度のばらつきが更生管きょの鉛直断面の耐震性能に与える影響について検討した。まず、充填材の材料特性及びコンクリートとの付着性能を測定する実験を行い、材料強度間の関係について明らかにする。次に実験結果を用いて管きょをはり-ばね要素でモデル化し、FEM解析によって材料強度のばらつきを考慮した更生管きょの鉛直断面の耐震性能について評価を行った。充填材の材料強度試験によると、充填材のコンクリート平板との付着強度は一般のコンクリート管表面相当の粗度係数をもつものであれば付着強度は十分強いことが確認できた。さらに、複合管の鉛直断面の耐震性について既設管と充填材との付着を考慮して解析を行ったが、L2相当の外力に対しても既設管と充填材との界面の破断に対しては十分安全余裕があることを確認した。
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建設工学研究所論文報告集
巻: 52 ページ: 83-100
下水道協会誌論文集
巻: Vol.47,No.574,8月号 ページ: 125-134
