研究概要 |
平成21年度から22年度では,研究代表者らが提案した「大きな残留沈下の可能性がある軟弱粘土の室内力学試験による事前判定法」,「原位置初期状態の推定法」および「沈下の将来予測法」について,広範な種類の軟弱地盤に適用し,判定に準をより精緻化することを目的として,国内の軟弱粘性土,ピートを含む地盤を研究対象としてきた.平成23年度は,研究成果をさらに実務設計に適用・展開することを目的として,近年インフラ設備が進む,東南アジアの軟弱地盤を対象として研究をおこなった.具体的な研究内容とその成果は以下の通りである. (1)ベトナム国において盛土載荷により長期沈下が懸念される超軟弱粘土地盤の現場を研究対象とし、原位置から採取した粘性土試料の室内試験結果を整理し、我が国の代表的な地区における軟弱粘土の試験結果と比較を行った.結果、各種物性値や圧縮曲線において類似性が確認された。 (2)我が国の軟弱粘土の試験結果から得られた、「鋭敏比・圧縮指数比による長期・大沈下が起こるか否かの簡易判定法」を、対象としたベトナム国の粘土に対しても適用した。その結果、鋭敏比・圧縮指数比ともに大きく、対象現場において長期・大沈下の可能性があることが分かった。 (3)名古屋大学地盤力学研究室で開発した弾塑性モデル(SYSカムクレイモデル)を用いて弾塑性性状を同定した結果、当該ベトナム粘土は、構造が高位で劣化が速く、圧密降伏応力を跨ぐ大きな盛土荷重を載荷されると、塑性圧縮を伴う軟化に起因して遅れ圧縮が起こることが分かった。 (4)名古屋大学地盤力学研究室により開発されたGEOASIA(土の種類や外力条件を問わないコード)を用いた水~土連成解析を実施し,沈下挙動の再現を行い,残留沈下の原因を検討した.加えて,事前の残留沈下対策を再検討した.
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