研究概要 |
現在地震防災上大きな問題となっているのが、宅地の耐震補強であるが、(1)個人所有物であるため、公的資金の導入が難しく、高価な工法は採用できない、(2)既存構造物がある、(3)化学物質(薬液注入工法など)は安全性の懸念から採用されないという問題点があり、これらを克服した,新たな耐震補強工法の開発が急務とされている。本研究では、微生物を利用した宅地の耐震対策工法の開発することを目的としている. 今年度は,まず日本での適用性を確かめるため,豊浦砂での改良効果について検討した.初めにアメリカ,カリフォルニア大学デービス校(以下UCD)のDe Yong准教授の研究室を訪問し,研究の打合わせを行い,菌の培養方法,地盤改良工法について習得した. その後,日本で菌を輸入し,培養し,豊浦砂を試料として,改良を行い.三軸圧縮試験にて,改良効果の確認を行った.その結果,菌の培養に問題はなく,UCDと同様に三軸セル内にて供試体を改良した際,菌の活動によるpHの変化も確認された.しかし,三軸圧縮試験の結果,未改良供試体に比べ,強度や弾性係数の増加は確認できたが,UCDの報告にあるようなせん断強度の増加(約2.5倍程度)は見られなかった.この点については,次年度以降解明する必要がある.また,せん断弾性係数の経時変化を調べるため,三軸セル内でベンダーエレメント試験が実施できるように,三軸セル(特にペディスタル)の改良も行った.
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