研究課題
本研究では数値流砂水理学的な観点から混合粒径砂の鉛直分級機構を検討するため、砂粒子スケール以下の解像度を有する計算格子を用いて数値シミュレーション(LES)を実施した。本年度(22年度)は数値コードを3次元に拡張して混合粒径砂の鉛直分級機構について検討した。21年度の数値シミュレーションでは固液相間の相互作用力が不十分な取扱であったため、22年度の初期には、先ず計算格子レベルの運動量収支の観点から固液相間の相互作用力を表現したサブプログラムを作成した。その後、このサブプログラムを導入した数値コードの再現性確認のため、単一粒子や単一ブロックの静水中での自由落下過程を対象とした数値シミュレーションを実施した。そして、数値シミュレーションによって得られた粒子周りの渦構造は、水理実験から得られた渦構造を概ね良好に再現することを確認した。なお、水理実験の粒子周りの渦構造は、初年度の研究予算で購入したレーザーシートと流体解析ソフトウェアを用いてPIV計測したものである。単一粒子沈降過程に対する数値モデルの一定の再現性を確認した後、22年度中期から後期には多数粒子群の沈降過程や混合粒径砂の鉛直分級現象へこの数値モデルを適用した。これらのシミュレーションによって得られた粒子挙動は実験結果を概ね良好に再現性することが確認できたことから(ただし、鉛直分級現象のシミュレーションでは計算機のメモリ制約から十分な計算領域が確保できず、既往の実験と同一条件でシミュレーションの実施は不可能であった。)、実験計測が困難である高速で流動する高濃度粒子流動層(シートフロー層)の内部構造を検討するための数値コードが準備できたと考える。シミュレーションから得られる乱れ構造の情報は粒子流動層の詳細な理解や簡易な混相モデル開発などの一助となることが期待される。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻: Vol.66,No.2 ページ: 411-415
巻: Vol.66, No,1 ページ: 766-770