研究概要 |
解析には,茨城県波崎海岸に位置し(独法)港湾空港技術研究所が所有する波崎海洋研究施設にて計測された地形断面データ,および鹿島港沖にて計測された波浪データのうち,2001年1月から2005年12月(5年間)までを用いた.汀線位置は,地盤高が満潮位の高さを有する岸沖方向地点と定義した.定義した汀線位置変化からその変化量を算出し,汀線位置の後退,停滞,前進イベントを抽出した.これらのイベントと鹿島港沖にて観測された波浪データを用いて,汀線位置変動と周波数帯別波浪との関係を検討した.さらに,抽出した汀線後退イベントを用いて,汀線後退速度と前浜地形形状との関係についても検討を行った.その結果,汀線位置の停滞イベントと前進イベントの分離は困難であるけれども,後退イベントと停滞・前進イベントの分離については,有義波高のエネルギーフラックス,または,波浪スペクトル密度の高い周波数帯のエネルギーフラックスにより可能であることがわかった.また,後退イベントの後退速度と前浜形状(バームの有無)の検討により,汀線位置変動の予測には,汀線の岸沖方向位置に加えて地形形状も考慮する必要があることを示唆した.
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