平成21年度は、路線バス事業のモデル分析として、郊外住宅地を対象としてGISを用いた利用者需要推定を実施した。バス停1つ1つを利用者需要発生源として扱い、バス停勢力圏内の年齢別居住人口やバスサービスレベル(運行頻度)をパラメータとした1日当たりの利用者を推定する重回帰モデルを作成した。また、対象地区の立地特性として、鉄道駅への通勤・通学アクセスが主要であることを利用者実態調査(アンケート調査)から把握し、鉄道駅の勢力圏をダミー変数とすることで、モデルの信頼性を向上させることができた。また、集計モデルの推定を行うためのデータ(バス乗客数)の正確性とデータ量を向上させるために、バス車内に設置する乗降センサーの改良およびセンサーデータの解析改良を実施した。その結果、1つのバス停において長期間(1ヶ月以上)のデータ取得・分析が可能となり、バス利用者数の統計的分析が可能となった。具体的には、算術平均と変動係数からバス停の特性をグループ化した上での検討が可能となり、郊外住宅地という立地においてもバス停の特性について利用者数から検討することが可能となった。バス情報のナレッジ化については、乗降客数と運行遅延(早発を含む)をダイヤグラムとして表示するシステムを開発し、実際のバス運行計画時に具体的な改良・改正点を識別できることから非常に有益であることを確認した。今後、問題発見のルール化自体をナレッジとして整理することが必要かと思われる。
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