平成23年度は、路線バス事業のモデル分析として、GISを用いた利用者需要推定方法の高度化と、実際の路線におけるモデル適用可能性を探った。バス停1つ1つを利用者需要発生源として扱った重回帰型需要モデルについて、実際のバス路線における検討を2系統において実施し、利用者の増加可能性がある路線の検討をおこなった。(ただし、実際の路線再編には事業申請手続きの問題等があり、実施はできなかった)。 バス情報のナレッジ化については、前年度までに開発した乗降客数と運行遅延(早発を含む)をダイヤグラムとして表示するシステムのさらなる高度化を行い、運行の課題を自動的に発見する「課題発見機能」を中心に開発をおこなった。路線バス事業の見える化には、(1)データ取得、(2)データ表示、(3)データ分析といったステップがあるが、(2)データ表示で乗降人数の少ない運行や運行品質(遅延)について見えるようになっても、情報量が膨大であるため何が課題であるかの絞り込みが困難であったが、問題発見機能は計画検討者の労力軽減に効果的であることが確認された。また、実際のバス運行計画見直し時に具体的な改良・改正点を識別できることが計画業務の中で確認され、前年度に続き平成24年度からのダイヤ改定にシステムを利用できた。平成23年度は東日本大震災の影響もあり検討路線では3月中は減便運行となったが、4月以降の利用者復帰の過程などが見え化されたことで、実際のバス事業の運行にとっての大きな知見を得ることができた。
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