研究概要 |
本研究では、都心部の違法駐輪撤去マネジメントシステムの構築の前段階として、違法駐輪撤去が自転車利用者に及ぼす影響をまず撤去の影響構造の分析を目的として、違法駐輪者や駐輪場利用者の撤去経験ならびに自転車を撤去された人の駐輪意識の変化を調査し、撤去の効果を把握した。なお、調査対象地区としては、全国的にも違法駐輪が多く、各種の違法駐輪対策が行われている福岡市天神地区を選定した。 平成21年度は(1)~(2)を実施した。 (1) 国内外の違法駐輪の現状と政策の事例整理 我が国全般の自転車利用の現状や社会状況の変遷の過程で違法駐輪問題に対応すべく、全国的に取り組まれてきた施策の動向を整理した。次に、様々な工夫や新たな政策展開によって、違法駐輪の減少に効果を上げてきた国内先進都市及び欧米諸国都市での自転車政策の展開や先進事例を整理した。 (2) 撤去の効果に関する実態分析 本研究の目的は、違法駐輪自転車の撤去の効果を分析し効果的な撤去方策の検討である。このため、撤去経験者の意識および行動を調査した。調査は、(1)自転車保管所での受取者を対象とした保管所調査、(2)違法駐輪者を対象にした路上調査、(3)駐輪場利用者を対象とした駐輪者調査の3種類を実施した。これらの調査の組み合わせにより、(1)の保管所調査では撤去自転車を受け取った後の駐輪行動意識、(2)の路上調査では違法駐輪者中に占める撤去経験者の割合や彼らの意識、(3)の駐輪場調査では駐輪場利用者中に占める撤去経験者の割合とその意識分析を行った。その結果,駐輪場利用者の7割強が違法駐輪経験者,2割弱が撤去経験者で,違法駐輪対策の効果として駐輪場利用が進んだことが明らかとなった。
|