1.本研究の基礎となる混雑課金政策に関する分析技術の最新の研究動向をレビュー論文として取りまとめた。次善課金の分類整理・課金収入の返金法に着目した新政策について重点的に紹介し、既存の研究成果の体系化、今後の研究展望も試みた。 2.現実的な次善課金には、流入時コードン、流出入時コードン、エリア課金、上限付コードン、到着地別デポジット付課金など、さまざまな種類がありうることを指摘し、それらの特徴の違いを、研究代表者らが既存研究で構築しているモデルを改良して分析した。最適課金レベル、最適課金時の収入などに違いが生じることを現実都市圏を対象に実証的に明らかにした。 3.都心部流入時課金の最適設計においては、課金レベルと課金区域の2つの考慮すべき要素がある。既存研究では、所与の課金区域に対して、課金レベルのみを最適化していることが多かった。本研究では、エリア課金の課金レベルと課金区域の同時最適化の計算法を新たに開発し、実都市圏に適用して、その実用性・有用性を明らかにした。この計算法の開発・適用により、エリア課金とコードン課金の違いについて、新たな知見が得られており、実政策上の有用性も高い。具体的には、最適エリア課金領域と最適コードン課金領域の形状は大幅に異なり、その最適値において、社会的余剰値は、コードン課金のほうが高いこと、領域の形状・大きさの変化に対しての安定性はエリア課金のほうが高いことなどである。さらに、本計算法は、複数目でのデポジット・返金制度を考慮した本研究の主題の新制度の最適設計への応用が次年度以降期待できる。
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