研究概要 |
平成21年度までに構築していた道路混雑課金(ロード・プライシング)政策の最適設計アルゴリズムを複数の実都市圏に適用し政策の特性についての考察を深めた。具体的には、エリア課金の課金レベルと課金領域を同時に決定するアルゴリズムを、熊本都市圏道路ネットワークに適用し、課金区域内の交通量が減少すること、都心部を横断する国道3号と県北東部を結ぶバイパスの交通量が減少すること、最適課金額は、100円となることを明らかにした。コードン課金についても同様に分析したところ、課金領域の形状は、国道3号と南方のバイパスに沿った細長い形状になり、最適エリア課金の形状と異なることが示された。最適コードン課金額は25円で、最適エリア課金額の値よりも低いことが分かった。昨年度適用した宇都宮都市圏における計算結果と比較すると、宇都宮では最適コードン課金が最適エリア課金よりも社会的余剰は高いが,熊本では逆の結果となっている。最適課金領域の大きさについてのエリアとコードンの比較についても宇都宮と熊本では逆の関係であり、これらの点についての一般的/普遍的な関係は導けないと考えられることなどが確認された。 このほか、ピーク・ロード・デポジットと呼んでいる複数日でのポジット・返金制度を考慮した新たな混雑課金政策について、一週間単位での時空間パスを考慮したネットワーク均衡モデルを提案して、単純なネットワークに適用し、その政策の特性の基礎を明らかにした。
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