オゾンを用いた水処理技術は、その有用性から広く普及してきたが、実験的/実証的に経験に基づき運転・制御がなされているのが現状である。一方で、個々の物質とオゾンやオゾンの反応/分解過程に生成するもう1つの重要な酸化剤とされるOHラジカルとの二次反応速度定数等の化学的な情報が基礎研究により得られている。しかしながら、これらの実験的/実証的検討結果と化学的データが結びついておらず、オゾン処理技術は体系化されているとは言い難い。これは、水質マトリクスの反応性が明らかではないことに起因すると考えられる。そこで、本研究では、水質マトリクス、特に有機物を分画によって詳細に評価することにより、オゾン消費およびOHラジカル生成評価を目的とした水質のキャラクタリゼーションを行っている。本年度は、湖水や河川水等の比較的清澄な水を対象とした有機物分画手法を確立した。本手法は、本研究の土台となるもので重要な位置を占めている。さらに、もう1つの土台となるオゾン処理実験方法の確立を行った。これは、比較的短時間の反応を評価する方法およびオゾン被処理水を製造するための方法を含み、今後オゾンおよびOHラジカルの反応性を評価し、水質のキャラクタリゼーションを行う上で中心となる実験方法である。これまで対象とした範囲では、画分のオゾン処理により、疎水性酸が反応初期にオゾンを消費すること、親水性酸性や中性がオゾンとほとんど反応しないことが定性的には評価できた一方で、定量的な評価には、さらなる高度な手法が必要となったことから、現在よりオゾンおよびOHラジカルの反応を定量的に評価するための手法の高度化を進めている。また、海外も含めた、場所、時間間での水質比較のための準備を行った。
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