研究概要 |
最終埋立地からは有害重金属を含む浸出水が排出されるため、埋立終了後においても安定化までに数十年間の管理が必要である。最終埋立地の早期安定化は運営コスト面、環境負荷面から切実な社会的要求となっている。早期安定化には「重金属の安定的な封じ込め」ないしは「重金属の速やかな除去」の2通りの手段があり、本研究では根本的な埋立地の安定化・埋立焼却残渣のリサイクルの観点から、錯体形成による重金属の早期除去・埋立地安定化を狙う。 本年度では錯体形成・溶出実験から、クエン酸が最も大きな錯体形成能を有し、尿素が共存することで特にCr, Cu, Fe, Pの溶出を促進させることを示した。pH依存性試験と逐次抽出試験を組み合わせた実験より、地球化学的熱力学平衡計算による計算結果と実験的分析結果に大きな解離があることを示した。焼却灰中の重金属溶出挙動は溶解度支配となる幾つかの鉱物のみに着目すれば良いわけではなく、予想より複雑な現象であることが示唆された。また、溶出メカニズムにおいて化合形態変化が他の化合形態の溶出現象に与える影響は無視できなく、化合形態変化に伴って溶出しづらい形態(有機物態)からの溶出が誘発される可能性があることを明らかとした。
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