研究概要 |
埋め立てられた焼却灰の重金属に対し、錯体形成による溶出メカニズムについて検討を行った。クエン酸が最も大きな錯体形成能を有し、尿素が共存することで特にCr,Cu,Fe,Pの溶出を促進させることを示した。埋立地で生成される腐食物質は特に銅と錯体形成しやすく、銅の90%以上が腐食物質と錯体形成すること、ただし自然環境由来の腐食物質よりは錯体形成能が小さいことを明らかにした。pH依存性試験と逐次抽出試験を組み合わせた実験より、地球化学的熱力学平衡計算による計算結果と実験的分析結果に大きな解離があることを示した。焼却灰中の重金属溶出挙動は溶解度支配となる幾つかの鉱物のみに着目すれば良いわけではなく、予想より複雑な現象であることが示唆された。また、溶出メカニズムにおいて化合形態変化が他の化合形態の溶出現象に与える影響は無視できなく、化合形態変化に伴って溶出しづらい形態からの溶出が誘発される可能性があることを明らかにした。
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