本研究の目的は超低栄養条件下で生育する微生物を活用して未利用バイオマスを有用資源化することである。未利用バイオマスの中でも特に木質系、廃棄物系バイオマスを栄養源として微生物による分解・変換・合成を行い、最終的にはタンパク質、ビタミン、ミネラル等の有用物質を高効率に大量生産することを目指している。 平成21年度は、難分解性有機物質を唯一の炭素源として生育する酵母を数十株単離した。平成22年度は単離した酵母が木質系バイオマスの分解に現実に利用可能か判断するために、ワラ、ヒノキ等の実際の木質系バイオマスを用いた長期分解試験を行った。その結果、実際の木質バイオマスを単一炭素源として与えた無機塩液体培地で増殖でき、11週間という長期間の培養中に、途中で有機物質や無機塩等の栄養を足さなくても生存できることが分かった。ワラのようなソフトバイオマスとヒノキのようなハードバイオマスを比較すると、ソフトバイオマスの方が資化されやすいことが分かった。つまり本酵母はハードバイオマスであるヒノキの資化には向いていないことが明らかとなった。また、ワラは固形より粉末加工した方が資化されやすいことが分かった。電子顕微鏡(SEM)を用いて固形のワラと粉末のワラを観察したところ、木質バイオマスの表面構造に変化があった。分解実験前後では繊維や表面に影響があり、それらはブランクによるものではなかったことから菌体によるものと考えられる。このように本年度の研究により未利用バイオマスを有用資源化に向けて大変意義のある成果を得ることができた。
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