本研究では、嫌気性DHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターを用い、水溶性切削油廃水への適応性検討を行った。連続実験では、水溶性切削油廃水を水道水にて約17~20倍に希釈した廃水を供給し、240日以上の連続通水実験を行ったところ、処理廃水量5L/dの負荷ではCODCr除去率は40%程度で安定した。それ以降は栄養塩類を添加し、負荷を半減させたところ、CODCr除去率は50%程度を推移したが、十分な処理水質を得ることは出来なかった。DHSスポンジ付着汚泥のバクテリアについて16S rRNA遺伝子を対象として微生物群集構造解析を行ったところ、酢酸生成細菌、油分分解細菌等が確認され、含油廃水への嫌気性処理の適応性が示唆された。
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