研究概要 |
建築構造物の骨組重量は,建築生産コストを評価するためのバロメーターとして様々な場で多用されている.しかしながら,骨組重量により,建築生産コストを的確に予測できない場合もある.骨組重量が,建築生産コストを必ずしも的確に予測し得ない理由の一つに,建築生産コストの何割かを占める鉄骨製作コストが,骨組重量よりむしろ接合部の複雑さなどのような鉄骨製作労務の難易度に依存するものであるこが挙げられる.本研究では,与えられた耐震安全性の制約条件のもとで著者らがすでに提案している鉄骨製作コストと材料コストの和を最小化する鉄骨ラーメン骨組の最適設計問題を取り扱う.本研究で扱うコスト関数は,接合部の左右の梁せいの一致,不一致により接合部のダイアフラム数や溶接量が不連続に変化していくため,規格断面使用を考慮した最適化問題の定式化が前提となり、離散最適化(または組み合わせ最適化)とよばれる問題となる。ここでは、このような問題に対して、連続最適化手法、列挙法、GAという3つの解法の可能性をそれぞれ検討し、以下の点を明らかにした.(1)連続最適化手法を出発点とした離散断面選定手法の計算手順と計算効率(5層骨組において,パソコンにより数秒で計算可能),計算精度(5層骨組において大域的最適解に近い解が得られた.)(2)列挙法の計算性能改善手法の計算手順と現世代における計算機での列挙法の計算効率(5層骨組において,LINUXワークステーション(8ノード並列計算)により約1時間で計算可能)(3)GAの計算性能改善手法の計算手順および計算効率(5層骨組において,LINUXワークステーションにより数秒で計算可能),計算精度(5層骨組において、異なる乱数列による5回の実行のうち4回の実行で大域的最適解が得られた.)
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