研究概要 |
PCaコンクリート外壁ダンパーの開発を目指し,ファスナー型鋼-コンクリート圧着型摩擦ダンパーの性能を把握するため,そのファスナー部を模擬した要素試験体を用い,地震時応答をシミュレートする動的すべり実験を行った。 要素試験体は,コンクリート壁板(軽量1種コンクリート),長孔付きファスナープレート(SS400, PL12),コンクリート座金(摺動材,早強コンクリート)を,コンクリート壁板に機械式定着した普通ボルト(呼び径:M24)により初期ボルト張力25kNを導入し締め付けた。コンクリート壁板,コンクリート座金の摩擦面には特別な処理を施さない木製型枠脱型面を採用した。実験変数として,ファスナープレートの表面処理=黒皮スケール未除去(赤錆あり),亜鉛メッキ(メッキ種類:HDZ55),防錆ペイント(JIS K5621,一般用さび止めペイント)の3種類を設定し,前年度実施した黒皮スケール未除去(赤錆なし)ファスナープレート及び亜鉛メッキ(種類:HDZ35)ファスナープレートを用いた試験グループと比較した。3種類の実験条件毎にボルト締付部に皿ばね座金(JIS B1251, M24用軽荷重1種)を挿入したものを3体,挿入しないものを1体用意し,総計12体の実験を行った。 実験の結果,ファスナープレート摩擦面が黒皮スケール未除去の場合に,発錆の有無による摩擦すべり挙動への影響は少ないものであった。一方,防錆塗装を施したファスナープレートを用いた試験グループでは,摩擦すべり挙動に極端に大きな違いは見られなかった。
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