研究課題/領域番号 |
21760438
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
高木 次郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (90512880)
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キーワード | 建築構造 / 鋼木複合断面部材 / 耐火性能評価 / トルシア形高力ボルト |
研究概要 |
本研究では、経済性や加工性の高い木質構造の長所を生かしつつ、部材の大きさの制約や接合部の強度確保の問題を補う目的から鋼板と木材とを組合せた鋼木複合断面部材を開発している。複合断面は、鋼板を木材で挟み込む形状をしており、その一体化接合には、鋼構造用のトルシア形高力ボルトを利用する。木材のめり込み基準強度の10倍を超える圧力を加えて締め付けると、木材は繊維と直交方向に圧縮され、座金がめり込むが、ひずみ度70%程度で間隙率の大幅な低下に伴い硬化し、ピンテールが破断するまでの張力をボルトに導入することができる。2010年度までに、このような接合方法による鋼材と木材間のずれ耐力および剛性を実験的に評価してきたが、木材の経年による接合部性能の変化が予想された。2011年度は、木材の繊維方向への支圧機構を主体とした新たな接合方法を考案した。鋼板と木材を圧着し、部材の材軸方向へのずれを抑止する機能を接合金物の形状を工夫することで実現しようと試みた。トルシア形高力ボルトを用いる接合方法3案について、実験的にせん断(ずれ)強度および剛性を確認する実験を行った。いずれも最大耐力後の耐力低下の小さい荷重-変位関係が得られ、実用化の可能性があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複合断面の接合方法の検討については、複数の案を検討し、実験を含めた評価は順調に進んでいる。一方で耐火に関する検討がやや遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
接合方法については、更なる検討を行い、より正確な実験データを収集する。また、一定の耐火性能を確保できるようなディテールの開発に努める。
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