伝統木造建築の修復を行う際に、耐震要素としての土壁の性能と軸組の挙動は大変重要である。そこで、今年度は土の材料強度試験について、また、軸組の接合方法としての長ほぞ込栓接合の引抜強度について検証した。 「壁土の材料試験」 実施したのは、圧縮試験、部分圧縮試験、せん断試験、および、曲げ試験である。供試体は、モルタル曲げ試験体を作成するための鉄製の型枠を用いて作製した。この型枠の内法寸法40x135x160mmであり、乾燥後に供試体として切り出した。圧縮試験は寸法約40x40x80mmのものを14、その他は約40x40x160mmの寸法で、部分圧縮供試体を7体、せん断供試体を7体、そして、曲げ試験体を5体とした。壁土の圧縮強度、部分圧縮強度、せん断強度、および曲げ強度は、それぞれ0.31N/mm^2、0.66N/mm^2、1.04N/mm^2、0.68N/mm^2であった。 「長ほぞ込栓接合部の引抜試験」 一般的に用いられる15mm角、18mm角のそれぞれの込栓について、先穴の形状を角穴と丸穴との場合で引き抜き性能の差異を実験的に検証した。剛性については、角穴の方が高いものの、靱性については丸穴の方が優れていることがわかった。
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