伝統軸組構法を修復する上で構造上、重要になる土壁と軸組の強度性能を明らかにする目的で以下の実験を行った。(a)土壁については、基本材料特性である圧縮強度、部分圧縮強度、せん断強度および曲げ強度を調べた。(b)軸組については修理の際に用いられることの多い、金輪継手について、継手長さを変化させて曲げ性能と圧縮性能を調べた。その結果、次のことが分かった。 (1)壁土の圧縮強度、部分圧縮強度、せん断強度、および曲げ強度は、それぞ0. 31N/mm^2、0. 66N/mm^2、1. 04N/mm^2、0. 68N/mm^2であった。 (2)金輪継手の曲げ性能には弱軸と強軸がある。 (3)金輪継手の継手長さが長くなれば曲げ強度が上がる傾向があるが、靱性が低くなる可能性も同時に示唆された。 (4)金輪継手の圧縮性能は継手長さによらず、ほぼ一定である。
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