研究概要 |
平成22年度に実施した研究の成果は,下記の通りである。 【勾配屋根における屋根雪の動的挙動と構造体の地震応答との関係について】 小型の勾配屋根試験体を用いた振動実験を行い,振動による屋根雪の滑落と構造体の地震応答との関係を検討した。その結果,屋根雪の滑落によって構造体の重量が減少し,屋根雪堆積時に比べて応答が小さくなることが明らかとなった。また,振動実験で得られた結果を個別要素法による解析で再現を試み,解析によって振動実験を概ね再現できることが明らかとなった。 【積雪地域における木造住宅の冬期に発生する地震による被害想定について】 積雪地域における木造住宅の地震被害想定を明らかにするための基礎資料を構築するため,北海道や東北地方の木造住宅30棟の耐震診断を行った。さらに,発泡系断熱材を用いた外張り断熱工法を対象に,耐力壁の水平載荷試験を行い,構造用合板の屋外側に断熱材を胴縁の上から高体力ビスで留めつけることにより耐震性能が格段に向上することが明らかとなった。その外張り断熱工法を耐震改修として適用した場合の耐震診断を行い,柱頭・柱脚部の仕様を緩和しても建築基準法で規定している耐震性を確保できることが明らかとなった。 上記の耐震診断を実施した際に,屋根や床の水平構面の仕様が既往の耐震診断法に適合しないケースがいくつか存在した。特に,北海道の木造住宅では,屋根断熱工法が普及しており,その水平構面の耐震性能は明らかにされていない。本研究では,屋根断熱工法を対象とした水平加力試験を行い,水平構面の性能に関するデータを収集した。
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